基礎知識2026.09.13読了目安 5分

債権譲渡登記とは?ファクタリングで登記が必要な理由・費用・登記不要の会社

債権譲渡登記とは?ファクタリングで登記が必要な理由・費用・登記不要の会社

2社間ファクタリングでは「債権譲渡登記」を求められることがあります。登記の目的と法的効果、登録免許税7,500円などの費用、登記の記録が誰に見えるのか、登記不要と明記している会社までを、法務省の公開情報をもとに整理しました。個人事業主は登記の対象外である点も解説します。

01債権譲渡登記とは、法人の債権譲渡を法務局に記録する制度

債権譲渡登記は、法人が金銭債権を譲渡したことを法務局に登記して公示する制度です。「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」に基づいています。

対象は法人がする金銭債権の譲渡に限られます。ファクタリングで言えば、法人が売掛債権をファクタリング会社に売却した事実を記録するものです。

登記を扱うのは東京法務局の債権譲渡登記所で、全国の法人の登記が一か所に集約されています。

個人事業主は登記の対象外です。法務省は制度の対象を「法人がする金銭債権の譲渡」としているため、個人事業主がファクタリングを使う場合に債権譲渡登記が求められることはありません。

02なぜファクタリング会社は登記を求めるのか

理由は2社間ファクタリングの構造にあります。2社間では売掛先に通知しないため、売掛先も第三者も、債権がファクタリング会社に移ったことを知りません。

民法では、債権譲渡を第三者に主張するには「確定日付のある証書による通知または承諾」が必要です(民法467条)。通知しない2社間では、この要件を満たせません。

そこで登記です。法務省によれば、登記をすると「民法第467条の規定による確定日付のある証書による通知があったものとみなされ、第三者対抗要件が具備され」ます。

つまり登記は、売掛先に知らせないまま、ファクタリング会社が「この債権は自分のものだ」と第三者に主張できる状態を作るための手段です。

ファクタリング会社にとって最大の懸念は、同じ債権が別の会社にも売却される二重譲渡です。登記があれば、後から現れた買主に対して優先権を主張できます。

03登記で変わること、変わらないこと

相手登記の効果
第三者(他のファクタリング会社・差押債権者など)対抗できる(確定日付のある通知があったものとみなされる)
売掛先(債務者)対抗できない。別途、登記事項証明書を付けた通知が必要

法務省「債権譲渡登記制度とは?」より。

債権譲渡登記により第三者には対抗できるが、売掛先に対しては別途の通知が必要であることを示した図
登記の効果は第三者に対してのみ。売掛先に主張するには登記事項証明書を付けた通知が別に必要です。

表の2行目が、2社間ファクタリングの「知られない」仕組みを支えています。登記だけでは売掛先に対して債権譲渡を主張できないため、通常の運用では売掛先に通知は行きません。

裏を返すと、利用者が送金を怠るなど契約違反があった場合、ファクタリング会社は登記事項証明書を付けて売掛先に通知し、直接回収に動くことができます。

「知られない」のは、契約を守っている限りにおいてです。この点はファクタリングは取引先に知られる?で詳しく解説しています。

04登記にかかる費用:登録免許税と司法書士報酬

項目金額根拠
債権譲渡登記の登録免許税1件につき7,500円(債権の個数5,000個以下)法務省(租税特別措置法による軽減後)
延長登記の登録免許税1件につき3,000円法務省
抹消登記の登録免許税1件につき1,000円法務省
司法書士報酬依頼先により異なる各社の見積もり

登録免許税は法務省の公開情報より。司法書士報酬には公的な定めがなく、依頼先によって異なります。

申請書類に社印を押している手元と朱肉

登録免許税そのものは高額ではありません。実務上、負担感が出るのは司法書士報酬と、抹消登記まで含めた手続き全体です。

これらを利用者と会社のどちらが負担するかは契約によります。手数料とは別に請求されることが多いため、見積もりの段階で「登記費用は含まれているか」を確認してください。

手数料以外にかかる費用の全体像はファクタリング手数料の相場は?にまとめています。

05登記の記録は誰が見られるのか

登記は「公示」が目的なので、一定の範囲で誰でも見られます。ただし見える情報には段階があります

証明書記載内容請求できる人手数料
登記事項概要証明書債務者名など、個々の債権を特定する事項を除いた事項誰でも1通300円
概要記録事項証明書譲渡された債権を特定する事項や登記原因等を除いた事項誰でも1通300円
登記事項証明書個々の債権に関する登記事項の全部(債務者名を含む)当事者・利害関係人のみ債権1個につき500円〜

法務省「証明書交付請求の手続」より。

整理すると、「あなたの会社が誰かに債権を譲渡した」という事実は誰でも300円で確認できますが、「どの取引先への債権か」は当事者以外には分かりません

取引先が概要証明書を取ることは考えにくいものの、金融機関が融資審査で確認する可能性はあります。「履歴に残らない」ことを重視するなら、登記不要の会社を検討する理由になります。

06登記不要と明記している会社

掲載11社のうち、QuQuMoは公式サイトで「債権譲渡登記の設定不要 履歴に残りません」と明記しています。登記費用がかからず、登記事項証明書に履歴も残りません。

OLTAは「手数料は諸経費などすべて込み」としており、登記費用が別途加算されない料金体系です。

一方で、登記の有無を公式サイトに記載していない会社も多くあります。記載がない場合は「必要になることがある」前提で、見積もり時に確認してください。

なお個人事業主は前述のとおり登記の対象外なので、この論点自体が発生しません。個人事業主向けの注意点はフリーランス・個人事業主がファクタリングを使う際の注意点を参照してください。

07見積もり時に確認する3点

  1. 1登記は必要か。必要なら、契約時に登記するのか、支払遅延など一定の事由が生じたときに登記するのか
  2. 2登記費用(登録免許税・司法書士報酬・抹消費用)は手数料に含まれているか
  3. 3抹消登記は誰がいつ行うか。抹消されないと登記が残り続ける

全11社の条件はサービス一覧で比較できます。登記以外に確認すべき契約条件は償還請求権とは?を参照してください。

本記事の情報源

以下の公開情報を2026/09/13時点で確認して作成しています。手数料や条件は変更される場合があるため、お申し込み前に必ず公式サイトでご確認ください。

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