基礎知識2026.09.13読了目安 5分

償還請求権とは?ノンリコースとリコースの違いと、契約書での確認方法

償還請求権とは?ノンリコースとリコースの違いと、契約書での確認方法

償還請求権は、売掛先が支払わなかったときの損失を誰が負うかを決める条項です。「なし(ノンリコース)」と「あり(リコース)」の違い、なぜ「あり」だと実質的な貸付けと見なされるのか、公式サイトで明記している会社、契約書で探すべき文言を、金融庁の見解と裁判例をもとに解説します。

01償還請求権とは「売掛先が払わなかったら誰が負担するか」の取り決め

ファクタリングの契約書を読むとき、最初に探すべき言葉が償還請求権です。読み方は「しょうかんせいきゅうけん」。

意味は単純で、売掛先が期日に支払わなかった場合、ファクタリング会社が利用者に「代わりに払え」と請求できる権利のことです。

この権利が「ある」契約と「ない」契約では、利用者が負うリスクがまったく変わります。英語ではリコース(recourse)と呼び、「なし」をノンリコース、「あり」をウィズリコースと言います。

「償還」「遡求(そきゅう)」「買戻し」「保証」は、契約書の中で同じ趣旨に使われることがあります。言葉が違っても、売掛先の不払いを利用者が負担する条項であれば実質は同じです。

02ノンリコースとリコースの違いを一覧で比較

項目償還請求権なし(ノンリコース)償還請求権あり(リコース)
売掛先が倒産したとき利用者に支払義務なし利用者が買い戻す/支払う
未回収リスクを負うのはファクタリング会社利用者
法的な性質債権の売買実質的な貸付けと見なされるおそれ
手数料の傾向リスク分だけ高くなりやすい低く見えることがある
貸金業登録不要(債権の売買のため)貸付けにあたるなら登録が必要
償還請求権なしでは売掛先が倒産してもファクタリング会社が負担し、償還請求権ありでは利用者が買い戻して負担することを対比した図
売掛先が倒産したときに損失を負うのが誰か。この一点で、利用者のリスクは決まります。

表の最後の2行が重要です。償還請求権があると、その契約はもはや「売買」ではなく「貸付け」と評価されるおそれがあります。次の節で理由を説明します。

03なぜ「償還請求権あり」は実質的な貸付けと見なされるのか

債権の売買であれば、売った時点で債権は買主のものになり、回収できるかどうかは買主の問題です。売主に「返す」義務はありません。

ところが償還請求権があると、回収できなかったときに利用者が資金を戻すことになります。お金を受け取り、条件付きで返す——この構造は借入と同じです。

金融庁は、貸付けとの区別で着目される要素として「売主が債権を買い戻すこととされている」「売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている」を挙げています。

実際に裁判所が判断した例もあります。東京地裁は令和3年2月9日の判決で、利用者が回収を委託され自分の資金で支払う仕組みの取引を「経済的に貸付けと同様の機能を有する」として、貸付けと認定しました。

判決の詳しい内容はファクタリングを装った違法業者の手口で解説しています。

償還請求権のある契約を貸金業の登録なしに業として行えば、貸金業法違反のおそれがあります。契約書に「償還請求権あり」「買戻し特約」がある場合、その業者との契約は見送るのが安全です。

04ノンリコースだと手数料が高くなるのには理由がある

「ノンリコースの会社は手数料が高い」と感じることがあります。これはリスクの置き場所を考えれば当然です。

ノンリコースでは、売掛先が倒産したときの損失をファクタリング会社が全額かぶります。その分のリスク料が手数料に含まれています。

一方リコースでは損失は利用者に戻るため、表面上の手数料を低く見せることができます。安く見える理由が、リスクを利用者に戻しているからだとしたら本末転倒です。

手数料を比較するときは、料率の数字だけでなく「その料率でどこまでのリスクを引き受けてくれるのか」を並べて見る必要があります。

手数料が決まる仕組みはファクタリング手数料の相場は?で解説しています。

05公式サイトで「償還請求権なし」を明記している会社

当サイトが掲載11社の公式サイトを確認したところ、「償還請求権なし(ノンリコース)」を明記していたのは次の5社でした。

サービス手数料入金スピード
OLTA2%〜9%審査結果24時間以内・契約後最短即日
QuQuMo1%〜最短2時間
アクセルファクター0.5%〜12%最短2時間(審査最短30分)
ベストファクター2%〜最短即日〜3営業日程
えんナビ非公開(要見積)最短1日(最短翌日)

各社公式サイトで償還請求権なし(ノンリコース)の記載を確認した会社。手数料・入金スピードは公式サイトの公開情報より。

アクセルファクターは「全取引がノンリコース」、ベストファクターは「償還請求権なしの完全買取」、QuQuMoは「ノンリコース【償還請求権なし】での契約になります」と、表現は違いますがそれぞれ明記しています。

残りの6社は公式サイトに明記が見つかりませんでした。記載がないことは違法を意味しませんが、契約前に自分で確認する必要があります。

明記している会社を含めた全社の条件はサービス一覧で比較できます。

06契約書で確認すべき箇所と、担当者への質問の仕方

契約書を受け取ったら、次の言葉を検索するつもりで探してください。

  • 「償還」「償還請求」
  • 「遡求」「遡及」
  • 「買戻し」「買い戻し」
  • 「保証」「連帯保証」
  • 「損害賠償」「違約金」——売掛先の不払いを理由に発動するもの
契約書の条項に蛍光マーカーで印を付けている手元

見つからなくても安心はできません。「売掛先から回収できなかった場合」の条項が何を定めているかを読んでください。そこに利用者の支払義務が書かれていれば、名称に関係なく償還請求権があるのと同じです。

2社間契約では、売掛先からの入金を利用者が受け取ってファクタリング会社へ送金します。この「送金義務」と「売掛先が払わなかった場合の負担」は別物なので、混同しないでください。

  1. 1「売掛先が倒産した場合、私に支払義務はありますか」
  2. 2「この契約に買戻し条項はありますか」
  3. 3「償還請求権なしであることを、契約書のどこで確認できますか」

明確に「ない」と答えられない、あるいは口頭では「ない」と言うのに契約書に書いていない場合は、契約を急がないでください。

07まとめ:償還請求権の有無は、料率より先に見る

償還請求権の有無は、手数料の1〜2%の差よりはるかに大きな意味を持ちます。売掛先が倒産したとき、数百万円の負担が発生するかしないかの違いだからです。

会社選びの全体的な優先順位は失敗しないファクタリング会社の選び方、違法な業者の見分け方はファクタリングとはにまとめています。

本記事の情報源

以下の公開情報を2026/09/13時点で確認して作成しています。手数料や条件は変更される場合があるため、お申し込み前に必ず公式サイトでご確認ください。

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