ファクタリングとは
売掛債権を早期に現金化する資金調達方法を、わかりやすく解説します
ファクタリングとは、企業や個人事業主が保有する売掛債権(請求書)をファクタリング会社に買い取ってもらい、 支払期日を待たずに現金化する資金調達方法です。 銀行融資のような「借入」ではなく「債権の売買」であるため、貸借対照表上の負債が増えず、 信用情報にも影響しません。
審査では申込者自身よりも売掛先(取引先)の信用力が重視されるため、 赤字決算や税金滞納中の事業者でも利用できるケースがあるのが大きな特徴です。 一方で手数料は融資の金利より割高になりやすく、使うべき場面を見極める必要があります。 このページでは仕組みから法的な位置づけ、費用の相場、違法な業者の見分け方までを一通り解説します。
ファクタリングの仕組み
売掛債権を譲渡
取引先への請求書をファクタリング会社に買い取ってもらいます。
買取代金を受け取る
審査完了後、手数料を差し引いた金額が最短即日で入金されます。
期日後に精算
取引先からの入金後、ファクタリング会社へ売掛金を支払います。
2社間と3社間、2つの方式の違い
2社間ファクタリング
手数料相場:5%〜20%
- 取引先に知られずに利用できる
- スピードが早い(最短即日)
- 手数料はやや高め
3社間ファクタリング
手数料相場:1%〜9%
- 手数料が安い
- 取引先の承諾が必要
- 審査・手続きに時間がかかる場合がある
メリットとデメリット
メリット
- 最短即日でのスピード資金調達が可能
- 借入ではないため負債(BS)に計上されない
- 売掛先の信用で審査されるため赤字・滞納中でも利用できるケースがある
- 担保・保証人が不要
- 取引先に知られずに利用できる(2社間の場合)
デメリット・注意点
- 手数料が銀行融資の金利より割高になりやすい
- 売掛債権がなければ利用できない
- 悪質な業者も存在するため見極めが必要
01ファクタリングと融資は何が違うのか
ファクタリングと銀行融資は「事業資金を確保する」という目的こそ同じですが、法的な性質がまったく異なります。融資は金銭の貸借であり返済義務が生じますが、ファクタリングは債権の売買であり返済という概念がありません。この違いが、審査で見られる対象やスピードの差を生んでいます。
実務上いちばん大きいのは審査対象の違いです。融資では自社の財務内容が問われますが、ファクタリングでは売掛先が期日に支払えるかどうかが中心になります。そのため赤字決算や税金の滞納がある事業者でも、売掛先が信用力の高い企業であれば利用できるケースがあります。逆に、自社の財務が健全でも売掛先の信用力が低ければ断られることがあります。
02ファクタリングの法的な位置づけ
ファクタリングの土台になっているのは、民法で認められた債権譲渡です。事業者が保有する売掛債権(金銭債権)は原則として自由に譲渡でき、これを買い取るのがファクタリングという取引です。
ただし重要なのは、契約書の形式だけで合法性が決まるわけではないという点です。金融庁は「ファクタリングとして行われ、契約書に『債権譲渡契約(売買契約)』であることが定められた取引であっても、経済的に貸付けと同様の機能を有していると思われるようなものについては、貸金業に該当するおそれがあります」と明示しています。判断は形式的な要素だけでなく、経済的側面や実態に照らして行われます。
さらに押さえておきたいのが、貸金業のような登録制度が存在しないという点です。貸金業者は登録と監督を受けますが、ファクタリング事業者にはその枠組みがありません。参入の敷居が低いぶん、健全な事業者と、ファクタリングを装った違法な貸付を行う業者が同じ市場に混在しています。
登録制度がないということは、「登録番号がないから怪しい」という判断基準は使えないということでもあります。代わりに、運営会社の実在性・契約条件(とくに償還請求権の有無)・手数料の開示水準を自分で確認する必要があります。
03手数料の相場と、実際の料率が決まる仕組み
手数料の相場は契約方式によって大きく異なり、2社間で5%〜20%、3社間で1%〜9%が一般的な目安です。3社間が低いのは、売掛先の承諾を得て売掛先から直接入金される仕組みのため、ファクタリング会社が負う未回収リスクが小さくなるからです。
実際に提示される料率は、次の4つの要素で決まります。自分の債権がどの位置にあるかを把握しておくと、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。
- 売掛先の信用力 — 上場企業や官公庁など倒産リスクが低いほど下がる
- 債権金額 — 金額が大きいほど下がる傾向
- 支払期日までの期間 — 期間が短いほど下がる
- 契約方式 — 3社間のほうが2社間より大幅に低い
掲載各社が公開している料率を並べると、この構造がはっきり表れます。ただし「1%〜」のように下限しか公開していない会社が多い点には注意が必要です。下限は最も条件の良い債権に適用される数字であり、多くの利用者に適用される料率ではありません。
上限まで公開している会社の例。各社公式サイトの公開情報より。全11社はサービス一覧、上限公開の会社だけを見るには「手数料明記」で絞り込み。
コスト感を具体的に見ておきましょう。支払期日が1か月後の100万円の請求書を手数料10%で売却すると、手取りは90万円、コストは10万円です。これを年率に換算すると120%相当になります。融資の金利(年率数%〜十数%)と比べれば明らかに割高で、ファクタリングは「安く借りる手段」ではなく「時間を買う手段」だと理解しておく必要があります。手数料の詳しい内訳はファクタリング手数料の相場は?で解説しています。
04ファクタリングを使うべき場面・避けるべき場面
年率換算すると割高であるという性質から、ファクタリングが合理的な選択になる場面は限られます。「今日資金がないことで失うものが、手数料を上回るか」が判断軸です。
- 向いている: 受注が決まっているが材料費・外注費の支払いが先行する
- 向いている: 融資の実行を待てない緊急のつなぎ資金が必要
- 向いている: 支払いが遅れると取引先の信用を損なう場面
- 向いている: 銀行融資の審査に通らず、他に調達手段がない
- 向いていない: 恒常的な赤字を毎月補填する用途(手数料が経営を圧迫する)
- 向いていない: 時間に余裕があり、融資など低コストの手段が使える
- 向いていない: 売掛債権がない、または売掛先が個人(対象外になりやすい)
毎月ファクタリングを繰り返す状態になっている場合、手数料が資金繰りをさらに圧迫する悪循環に入っている可能性があります。その段階では、資金調達手段の変更や事業構造の見直しを専門家に相談することを検討してください。
05利用できる事業者と、対象外になるケース
ファクタリングは法人・個人事業主のどちらでも利用できます。ただし会社によって対象範囲が異なり、掲載11社のうちGMO BtoB早払いとFintoファクタリングは公式サイトで法人限定と明記しています。
そして見落とされやすいのが、売掛先(請求書の相手)が法人であることが前提という点です。ファクタリングは事業者間(BtoB)の売掛金を対象とするため、報酬の支払元が個人である場合は対象外となるのが通例です。この条件で断られた経験がある方は、「個人の取引先でもOK」と公式に明記しているペイトナーファクタリングが数少ない選択肢になります。
- 必要なもの: 支払期日が確定した売掛債権(請求書)
- 必要なもの: 口座の入出金明細(売掛先からの入金実績が確認できるもの)
- 対象外になりやすい: 売掛先が個人、支払期日が未確定、金額が各社の下限未満
- 対象外: 個人の給与債権(給与ファクタリング。下記参照)
買取可能額の下限も会社ごとに違い、1万円から使える会社もあれば30万円・50万円・100万円を下限とする会社もあります。条件ごとの絞り込みはサービス一覧から行えます。個人事業主向けの注意点はフリーランス・個人事業主がファクタリングを使う際の注意点にまとめています。
06違法な「ファクタリング」を見分ける4つのサイン
登録制度がないことの裏返しとして、ファクタリングを装った違法な貸付が存在します。金融庁は、貸付けとの区別で着目される要素として「売主が債権を買い戻すこととされている」「売主自身の資金によりファクタリング業者に支払をしなければならないこととされている」といった点を挙げています。次のいずれかに当てはまる場合は契約を見送るべきです。
- 1契約書に「償還請求権あり」「買戻し特約」がある — 売掛先が支払わなければ利用者が負担する契約であり、実質的な貸付にあたる
- 2手数料を年率換算すると著しく高額になる
- 3分割返済を提案される — 債権の売買であれば「返済」という概念自体が存在しない
- 4運営会社の商号・所在地・代表者名が公開されていない — 実在性を確認できない
とくに決定的なのが償還請求権の有無です。当サイトが11社の公式サイトを確認したところ、「償還請求権なし(ノンリコース)」を明記していたのはOLTA・QuQuMo・アクセルファクター・ベストファクター・えんナビの5社でした。記載がない会社が違法というわけではありませんが、その場合は契約前に自分で確認する必要があります。
「給与ファクタリング」(個人の給与債権の買取)は、事業者向けファクタリングとはまったく別物です。金融庁は「業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うことは、貸金業に該当します」と明示しています。利用しないでください。
ファクタリングを装う違法な貸金業者にご注意ください
- 契約書に「償還請求権あり(ノンリコースでない)」と書かれている場合は要注意。売掛先が倒産しても利用者が全額返済義務を負う契約は、実質的に融資(貸金)とみなされる可能性があります。
- 手数料を年率換算すると著しく高くなる場合や、分割返済を提案された場合は違法な貸付の可能性があります。
- 「給与ファクタリング」(個人の給与債権の買取)は、多くの場合で実質的に貸金業に該当し違法性が指摘されています。安易に利用しないでください。
- 契約前に、運営会社の商号・所在地・代表者名が公式サイトに明記されているか、実在する会社かを必ず確認しましょう。
少しでも不安を感じた場合は、日本貸金業協会や、お住まいの地域の消費生活センター(消費者ホットライン188)へご相談ください。 当サイトの掲載企業は公式サイトで会社情報を公開している事業者を選定していますが、契約内容は必ずご自身でも確認してください。